空は遠く261

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 昨日の雨が嘘のように青空が広がっている。
 窓の外へ目をやるとメタセコイア並木も校庭の桜も新緑が陽に映えて目に眩しい。
 放課後になると、各クラス一斉に球技大会の練習にと繰り出していた。
 練習は球技大会の委員会に申請してからの順番待ちになるので、その日順番が最後になると、終わる頃には既に辺りが暗くなりかけている。
 三年Eクラスのサッカー組は順番でいうと次になっていて、元サッカー部員の新垣が中心になってフォーメイションや作戦を練っているところだった。
「おい、山本、お前、さっきから全然聞いてねぇだろ?」
 新垣のイラついた声がずっとさっきから窓の方を見ている力に向けられた。
「ああ?」
「お前が中心なんだから、もちょっと身、入れてやれよ」
 どちらかというと新垣より、朝から力の方がイラついていた。
「お前がサッカー部だったんだから、中心はお前だろう」
「悪いがレギュラーじゃなかった俺より、お前のがうまいんだ」
 清々しいほどはっきりと言ってのけた新垣は、歯に衣着せぬ物言いをする表裏のない性格だ。
 一応作戦会議の輪に身体を向けたものの、いつもなら行事やイベントは結構先頭に立ってやる力なのだが、今日はどうしてもそういう気分ではなかった。
 とりあえず何でもうまくこなすのが力で、絶不調などという言葉は力とは無縁のものと自他共に思い込んでいた。
 発端は朝、担任の加藤の一言だ。
「成瀬は風邪で欠席だ。ここんとこ天気も不安定だし、みんなも気をつけろよ。成瀬でなきゃ、欠席なんざ言語道断と思え」
 その発言に、贔屓だ、何だと文句があがった。

 


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