空は遠く272

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 しかも中学のクラスメイトだったはずが、なぜか力がその中に混じっていて、夢の中でまで言い争いをしている。
 そんな状況に夢の中で疲れ果て、目が覚めてもなお夢の残骸にまで翻弄されてさらに疲れてしまった。
「熱は、七度八分、まだ高いな」
 ミルクで煮て少し甘く味付けしたパンを持ってきてくれた郁磨は車でもう一度佑人を宗田医院へ連れて行った。
「ずっと気を張って勉強してたんだろ? 怪我や雨に濡れたりしたせいで疲れも一気に出たのかもな」
 宗田は包帯を取り換えたあと、今度は風邪のための薬をいくつか出してくれた。
「なるべく早く帰るから、いい子で寝てるんだぞ」
 美月はロケで北海道だし、昨夜遅く帰ってきた一馬は学会だと朝早く慌てて出て行ったので、郁磨も佑人の風邪のことはあえて言わずに、佑人を寝かしつけると出かけて行った。
 薬のせいかその日一日深く眠った佑人は、もう一日きっちり休んで学校は明日からにすればという郁磨の助言通り、翌日も休むことにして、熱は下がったものの念のため怪我の状態を診てもらおうと宗田医院に出向いた。
 佑人が診察を終えたところで診察を待つ患者も途絶えたので、宗田からアメリカ時代の話を聞いていたちょうどその時、いきなり力がやってきたのだ。
 これまで佑人はずっと向こうにいる力をただ眺めていた、眺めていられればよかった。
 ところが話さえできないと思っていた力と言葉を交わすようになったと思いきや、口を開けばいがみ合うばかりで、結局力とはどうしたって近づくことなどできないのだと悟った。
 力といがみ合うのはもう嫌だったし、なるべく力には近づかないようにしようと思ったにもかかわらず、力はいきなり佑人の目の前に立ち、言葉を交わすどころか何の説明もなく意味不明な行動に出て、佑人は混乱したままだ。
 わけがわからない。

 


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