空は遠く273

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 ブラックホール論争とかリーマン予想とかより難解な謎な気がする。
 そういえば、坂本も前にふざけてキスしようとしたことがあったっけ。そうだ、どうせそんなところなんだろう。マジ、くだらないおふざけはやめてほしい。こっちは心臓がぶっ壊れそうだったのに。
 考えれば考えるほど疲れてまた熱が上がる気がして、佑人は頭の中で力のことはシャットアウトした。
 四時頃、坂本が見舞いに寄ってくれた。
「ありがとう、わざわざ。今、俺一人だけど、どうぞ」
 大きなメロンを掲げる坂本を佑人はリビングに通した。
「大丈夫なのか、その腕とか」
「平気だよ。たかだか風邪で熱が出ただけなのに、ちょっとすごすぎ、これ」
 佑人は笑った。
「あ、お構いなく、病み上がりだろ」
 お茶を用意しようとキッチンに向かう佑人の後を歩きながら坂本は言った。
「今日は念のため休んだんだ。みんなに移すと悪いからさ」
「東とか啓太も心配してたぞ、三日も休むし」
「まあ、あんまり休むと癖になって、このまま引きこもりそうだしね」
「お前な……」
 電気ポットで湯を沸かし、「紅茶がいいんだっけ?」と佑人は坂本に尋ねた。
「成瀬の飲みたいやつでいいよ」
「じゃ、紅茶にしよ。メロンも切ろうか?」
「冷やしてからのがいい。後で食べろよ、大女優さんとかと」
 佑人は笑った。

 


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