空は遠く274

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「みっちゃん……母はロケで今北海道」
「そっか、え、じゃ、一人で寝込んでた?」
「兄がいてくれたから」
「あ、そっか」
 キッチンのテーブルに落ち着いた二人は、まったりとお茶を飲む。
「あ、猫もいるのか」
 坂本はキッチンの出窓に寛いでいる猫に気づいた。
「うん、その子と、ほかに二匹。おとなしいし、あまりよその人に姿を見せないから」
 佑人と内田に絡んできた男たちは江西学院の三年で、何かと問題を起こして留年している松野と一緒につるんでカツアゲや暴力沙汰を起こしている小沢、大竹という生徒だと、内田にも人相を聞いて調べたと、坂本は言った。
「やつらが力にやられて逃げた時、落としてったナイフ、俺が拾って保管しているから、いざって時、そいつがモノを言うって」
 佑人の微妙な表情を見て、「まあ、成瀬や内田にとばっちりがかかるようなことはしないって」とつけ加える。
「いや、いざとなれば構わないけど」
「ダメダメ、我が南澤のホープの経歴を汚すようなことは絶対しないって。それに実際被害者なんだし」
「内田は巻き込まない方がいいよ」
「万が一、巻き込まれたとしても内田は結構図太そうだから大丈夫じゃね? また中学ん時のトラウマだろ? 力も一枚かんでるんだし、成瀬が心配するこたない、うまくやるさ」
 まかせとけ、とばかりに坂本はふっと笑う。
「けど……」
「成瀬が抱え込む必要はないってこと。お仲間をちょっとは信じてみろよ。言っとくが、成瀬の中学のどうしようもないご学友と一緒にしてもらっちゃ困る。ま、とにかく体調万全にして、明日学校出て来いよ」

 


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