空は遠く277

back  next  top  Novels


「あいついないって、練習どうする?」
「やるしかないだろ」
「明日は出てくるよな」
 心配そうな声を耳にしながら、佑人も急に不安になる。
 加藤の言った通り、問題児とか教師に目をつけられているとか言われながら、佑人の知っている限り、力は学校を休むなんてことはなかった。
 昨日、宗田医院へ行ったということはやっぱり風邪で早退したんだ。
 自分のことでいっぱいで、力が何故あそこにいたのかさえ考えが及ばなかった。
 ひょっとしてそれこそ熱を出して寝込んでいるのかも知れない。
 百合江さんとは別に暮らしているようだし、じゃあ、タローしかいないってことか。誰か傍にいてくれる人がいるんだろうか。
 内田とか帰り、寄るんだろうか。
 気もそぞろなまま昼休みになり、雨が降りそうだからと東山と学食に行くと、啓太や坂本が待っていた。
「力が風邪引くなんて、信じらんねー」
 啓太がお気楽な声を上げた。
「加藤も似たようなこと言ってたぜ」
 東山もにやつきながらアジフライ定食をかき込む。
「そういや、あいつガッコ休んだことないよな?」
「妙なとこ、こだわるやつだからな、中学ん時も皆勤賞」
 頷きながら坂本はミートソースパスタをフォークでつつく。
「成瀬、そんだけ? 病み上がりは栄養つけねぇと」
 きつねうどんをすすっている佑人を東山が振り返る。
「ヨーグルト、あるし」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ