「あいついないって、練習どうする?」
「やるしかないだろ」
「明日は出てくるよな」
心配そうな声を耳にしながら、佑人も急に不安になる。
加藤の言った通り、問題児とか教師に目をつけられているとか言われながら、佑人の知っている限り、力は学校を休むなんてことはなかった。
昨日、宗田医院へ行ったということはやっぱり風邪で早退したんだ。
自分のことでいっぱいで、力が何故あそこにいたのかさえ考えが及ばなかった。
ひょっとしてそれこそ熱を出して寝込んでいるのかも知れない。
百合江さんとは別に暮らしているようだし、じゃあ、タローしかいないってことか。誰か傍にいてくれる人がいるんだろうか。
内田とか帰り、寄るんだろうか。
気もそぞろなまま昼休みになり、雨が降りそうだからと東山と学食に行くと、啓太や坂本が待っていた。
「力が風邪引くなんて、信じらんねー」
啓太がお気楽な声を上げた。
「加藤も似たようなこと言ってたぜ」
東山もにやつきながらアジフライ定食をかき込む。
「そういや、あいつガッコ休んだことないよな?」
「妙なとこ、こだわるやつだからな、中学ん時も皆勤賞」
頷きながら坂本はミートソースパスタをフォークでつつく。
「成瀬、そんだけ? 病み上がりは栄養つけねぇと」
きつねうどんをすすっている佑人を東山が振り返る。
「ヨーグルト、あるし」
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