何となく言葉がなくて、佑人はキッチンの東山に声をかけた。
「あ、じゃ、そこの棚から深めの器三つ出して」
東山は鍋が見当たらないのでフライパンでパックのごはんや梅干しを入れておじやを作っていた。
「卵、買ってきてよかったぜ、っとできた」
ソファの前のテーブルに三人分のおじやを運ぶと、「こっち来られるか? そっち持ってこうか?」と東山は力を呼んだ。
「行く」
力は毛布を跳ね除け、Tシャツに短パン姿で歩いてきてソファにどっかと腰を下ろした。
「うめぇな、東、お前これからうち来てメシ作ってくれよ」
力がニヤニヤと笑う。
「早いとこ、次の女、探せよ。大体、何で別れんだよ」
「しゃーねぇだろ、違うんだから」
「何がだよ、ったくよ」
あっという間に平らげた力はおかわりを要求する。
「そんだけ、元気あれば明日はガッコ行けるな」
「熱が下がればな。半端で行って移すとまずいだろ」
東山から二杯目を受け取ると、力はまたガツガツと掻きこんだ。
「サッカーのやつら、お前が休みだってんで、青ざめてたぜ」
「球技大会、来週末だろ」
「練習できねってさ。そういや、俺らもちょっと練習しといた方がいいか」
東山が佑人を見た。
「そうだな、週末でもよければ、兄が入ってるテニスクラブでやらせてもらえるけど」
「おっ、いいな、それ、なんかセレブの匂い! あ、でも俺、ウエアとかないし」
「兄ので大丈夫だと思う」
「よっしゃ」
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