「しゃーないな」
東山が携帯で呼び出すと、やっと力が出たようだ。
「おう、見舞いにきてやったぜ。え? 鍵、開いてるって」
驚いたことに、ノブを回すとドアは開いた。
「入るぞ」
玄関には大きなスニーカーが数足、一足は脱ぎ散らしてある。
東山に続いて上がった佑人は、それも一緒に揃えて置いた。
リビングのソファに寝そべっていたタローが喜んで二人を出迎えた。
その奥にベッドがあり、力が横たわっていた。
「不用心だろ、鍵開けたまま」
「盗むもんなんかありゃしねぇよ。それにそいつがいるしな」
声が少し掠れている。
「色々、買ってきてやったぞ、ドリンクにゼリーに、ごはんに梅干し、うどん、おにぎりにサンドイッチ、何か食うか?」
「何か、温かいもん、くれ」
「おっしゃ」
東山がベッドとは反対側にあるキッチンに向かうと、ようやく力はタローに懐かれている佑人を見た。
「……俺の風邪、移したんじゃないかと思って…」
つい、言い訳のようになってしまう。
「責任を感じて、来て下さったと……」
いつもの皮肉も別人のような声だ。
「熱は?」
「下がったと思ったんだが、さっきこいつの散歩に行ったら、なっかなか帰りたがらねくて、一時間ほどふらついてたからまた上がったかもな」
それは無謀だ、と言いかけて、自分でも同じことをしたかもしれないと佑人は思う。
「手伝うよ」
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