ACT 27
この時期のじめついたまとわりつくような空気はやはり居心地のいいものではない。
カーディガンを羽織っているので、少し温度が低い時はいいのだが、夏へと向かう途上には急に気温や湿度が上がる時もあり、学校内だと脱いでしまいたいのを我慢しなくてはならなかった。
昨日の夜は気温というより湿度がかなりあがった。
ただしひどく寝苦しかったのは湿度のせいばかりではない。
佑人が教室に入ると、既に力は登校していた。
「よう」
「おはよう」
声をかけてきたのは東山だ。
力は佑人に対してだけではないが、たいていあまり挨拶もせずのそっと存在感を放っている。
「昨日、悪かったな、先、帰っちまって」
「いや、俺の家、近いし」
いつもと同じ平常心でいなくてはと自分に言い聞かせなくてはならないほど、今の佑人の心は平常心とは程遠かった。
夕べ、力の部屋を出て自分の家に戻るまではまだ心の中の高揚はおさまっていなかった。
だが、ラッキーを散歩に連れ出して歩くうち、制服のポケットの中にあるものが気になり始めた。
何で、持ってきちゃったんだろ。
今さらながらに自分の迂闊さを後悔していた。
熱に浮かされた病人の言葉をまともに受け取るなんて。
ちょっと頭冷やして考えてみれば、あの、山本が、男の俺に告るみたいなこと、あるはずがないんだ。
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