雲の間から少し青空が見えている。
風も出てきたので、昨日よりは過ごしやすそうだった。
日差しに校庭の常緑樹が一層青々と瑞々しく、木陰で昼休みを楽しむ女生徒の声が響いている。
坂本と佑人は購買部へ向かう階段で一緒になった。
今朝は考え事をしていて、弁当を買う余裕がなかったので、パンと牛乳くらいで済ませようと思っていた佑人だが、「久しぶりに屋上、行こうぜ。おこちゃまの啓太が晴れたからってはしゃいでてさ」という坂本に促されて屋上へ上がる。
「どうかした?」
坂本が振り返った。
「あ、いや……」
佑人の足取りは重かった。力と顔を合わせるのが怖かった。力と言葉を交わして、何かがいい方向へ流れるとは思えなかった。
「鍵か? 成瀬が出てく時、かけてってくれたみたいだぜ? そのまま持ってっちまったから、また看病に行かなけりゃ、とか、あいつ、正義感のカタマリみてぇなやつだから」
力の笑い声が聞こえ、佑人は坂本のあとから屋上に出ようとして、足を止めた。
やっぱりだった。
そうだった、山本って、人の気持ちとか全く考えないやつなんだ。
人のことからかって面白がってるだけで。
やっぱり、鍵なんか持ってくるんじゃなかった。
まさか俺の気持ち、あいつ気づいてて、それでカマかけてきたとか?
ああ、でも、そうだ、熱にうなされてたのなら、自分が言ったことだって忘れているのかもしれないけど。
佑人は一つ深呼吸すると、坂本の後を追った。
「あ、成瀬、坂本、こっち、こっち」
お子様の啓太が飛び上がるようにして笑った。
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