空は遠く289

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 青い空を背景にフェンスに凭れている力も笑っているのが佑人にも見えた。
 あいつって、ほんと、何であんなに青い空が似合うのかな。
 今しがた、憎まれ口を叩いていたにもかかわらず、そんなことを考えてしまった自分を、佑人は密かに笑う。
 鍵を、いつ何と言って返そう、そんなことを思いながら、佑人は買ってきたサンドイッチを食べ終わり、昨日見たテレビにすごい可愛い子が出てて、という啓太の話を聞いていた。
 さすがに晴れている空の下は、薄くてもカーディガンでは少し汗ばむ季節になっていた。
「でさ、その子、何で気になったかっていうと、何か、成瀬に似てたんだ。知的で美人でさ、慶應の女子大生だって。ドラマに出てる女優とかって」
「へえ」
「あ、それ、俺も知ってる。妹がチェックしてたな、須藤優里奈とかって」
 東山が口を挟む。
「前に、成瀬がうち来てくれただろ、もともと成瀬のこと南澤の王子様とかって騒いでたのが、いきなりうちにいるから、で、俺のダチだとかって言ったから、お蔭で俺、妹の中でランクが上がってさ」
 佑人は笑う。
「何? その妹って可愛い?」
 坂本までが話に割り込んでくる。
「美沙? 俺の口から言うのも何だけど、まあまあ? 今、うちの二年。そういや、ホワイトデーにお返しもらったって、有頂天だったぜ、あいつ」
「おや、俺らに隠れて、その美沙ちゃんとまさかつき合ってるとかじゃないよな?」
 坂本は佑人に妙な因縁をつけてきた。
「違うよ。バレンタインデーにチョコもらったからお返しをしただけだよ」
「美沙ちゃんに?」

 


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