「一応、くれた子にはね」
「本命とか、いたりしなかったわけ?」
「そういうのじゃ……」
何やら突っかかってくる坂本に曖昧な答えを返していると、「博愛主義者だからな、成瀬くんは」と混ぜっ返したのは力だった。
「誰にでも平等に愛をってやつ?」
どこまで人をおちょくったら気が済むんだろう。
東山や坂本や啓太は、俺のことそれなりに仲間だと思ってくれてる気がするけど、山本だけは違う。
また俺がここに顔見せたことが気にくわないわけか。
嫌ってるのに、のこのこ部屋なんか行ったから余計に。
啓太の前に座っていた佑人はすくと立ち上がった。
「俺、図書館に用があるから、そろそろ行くよ。そうだ、山本」
佑人の声に振り返った力に、佑人はポケットから出した鍵を放った。
「じゃ、またな、高田」
「うん、また明日!」
みんなに背を向けて、佑人はうまく鍵を返せたことに肩の力を抜いた。
「でさ、お前の妹と成瀬、ほんとのとこどうなんだよ」
「まるっきし、美沙の片思いだろ? 美沙の方もそれで全然満足してるみたいだし。まあ、また家に連れてきてとは言われてるけど」
階下に降りるドアを開けると、坂本と東山の会話は聞こえなくなった。
だが、その代り、タッタッと誰かが走ってくる音がした。
そしてまたドアが開いてその足音はすぐに佑人に追いつき、いきなり腕を掴んで壁に佑人を押し付けた。
「な、んだよ!」
佑人の顔を覗きこんだのは力だった。
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