空は遠く292

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 佑人は窓際のデスクに寄りかかると椅子にすとんと腰をおろした。
 鍵を持ってきてしまったのは、信じたかったからだ。
 って、バカじゃないのか、俺は。
 今までだってどれだけ、あいつが俺のこと詰ってきたか、わかってるはずなのに。
 ましてや俺にあんなことマジに言うはずがないのに。
 そんなに俺のことこきおろしたい?
 まあ、あいつも言ってたよな、昔っからドンくさいって。
 だから中学の時もまわりからシカトされたり。
 ウザいとか、死ねばいいとか、そんなこと言われるのは、言われる方が悪いってことか。
 ここであいつの思い通り、俺が真に受けて告ったりした日には、いい笑い者にされるってわけだ。
 窓は小さな中庭に面していた。
 ここに窓がなければ、薄暗く埃っぽいだけの書庫だろう。
 佑人は突き出し窓を少し開けて、新鮮な空気を取り込んだ。
 オリーブグリーンが明るいミズキの向こうにある空は輝いているように見えた。
「遠いな………」
 ふと呟いた時、静かに涙が零れ落ちた。
「あれ……」
 気づいて手で拭うのだが、涙は溢れて止まらない。
 この間からおかしい。
 感情がコントロールできない。
 こんなことくらいで………

 


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