空は遠く298

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 大事な話って………
 店に近づくにつれて佑人は段々気が重くなってきた。
 だが坂本の口振りからお茶らけた感じはなかったし、行くと言ってしまったからには、今さら引き返すわけにもいかない。
「あれ?」
 ドアにCLOSEDのプレートを認めて佑人は躊躇したが、窓から坂本が手を振るのが見えたのでノブを引いた。
「悪かったな、こんな時間に呼び出して。メシは?」
 坂本は奥のソファで、いつものようにタブレットに何か打ち込んでいる。
 少し長めの髪を後ろで結わえた私服の坂本は妙に大人っぽく見えた。
「食べた。今日はみんな遅いし」
「紅茶でいい?」
 佑人は向かいに腰を下ろしながら頷いたが、坂本が何となく雰囲気が違うのを感じていた。
 元々、学校に知られないようウマく遊んでいたらしいとは聞いていたし、つき合っていたのは女子大生や年上の女性だったという話だが、実際女の子にも人気があるのは確かだろう。
「ドア、CLOSEDだったけど、いいのか?」
 店内には坂本と佑人しかいないようだ。
「ああ、ちょっとだけ練さんに頼んで、CLOSEDにしてもらったんだ」
 そこへ練が紅茶とケーキを運んできた。
「ケーキは俺のおごり」
「ったく、高校生のくせに生意気なんだよ、お前や力のヤツは!」
 坂本に文句を言った後、「成瀬くんならいつでも貸切OKだけどな」と一言言い置いて練はカウンターの中に戻っていく。
「大事な話って?」
 紅茶を一口飲むと、ケーキに手を付ける前に、佑人は切り出した。

 


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