そんなことが起こるなんて、夢にも思っていなかった。
ラッピングしてもらったプレゼントを持って佑人は店の外に出たが、先に店を出ていた真奈の姿を探してもみあたらない。
その時、近くの路地から少女の悲鳴が聞こえた。
「いや! 離して」
数人の男たちの間から見え隠れしている少女の怯えた顔。
「和泉!」
明らかに佑人より大柄な、どちらかというとチャラい雰囲気の男たちがチラリと佑人を見た。
「渡辺くん!」
真奈が叫んだ。
「おい、彼女を離せよ!」
佑人は真奈の腕を掴んでいる男から、真奈を助けようとしたが、男は逆に佑人を小突いた。
「『渡辺くん』より、俺らの方が面白いって、なー」
ゲラゲラ笑いながら、佑人など相手にもせず、男たちは真奈の腕を引いて路地の奥へと歩き出す。
周りにいる人間たちは遠巻きに見ているだけで、誰も近づこうとしない。
おそらくタチの悪い連中と知っているのだろう。
もし、佑人がそういったワルたちを怖がるような少年だったら、結末はまた違ったかもしれない。
男は四人いた。まっすぐな正義感で、佑人は男たちにぶつかっていった。
佑人に殴り倒され、蹴り上げられた男たちの中には、あばらや腕を骨折した者もいた。
ようやく警官が駆けつけ、佑人と真奈は交番に連れて行かれた。
救急車がきて動けない男たちは病院に担ぎこまれ、残った男も歯が折られたと、殊更に佑人を悪く言ったが、佑人も殴られて痣を作っていたし、服も破かれてひどい有様だった。
少女は怯え、泣いて震えていた。
警官の質問に答えることもできず、佑人と目を合わせようともしなかった。
佑人も事態の大きさに戸惑っていた。
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