見上げていると、いろんなことが何だかバカらしくなってくる。
友達と思っていたクラスメイト。
尊敬していた教師。
好きだった少女。
信頼も友情も何もかも絵空事。
期待を持つのはもうやめることにしよう。
それが佑人の下した結論。
それまで重かったもやもやが消えてすっきりしてくる。
もう彼らの笑顔や言葉など自分には必要はない。
教員の都合で自習となったりした日には、教師がいないのをいいことに、廊下へ出てサボっていた生徒が三人、後ろの入り口から入ってきたと思うと、遠回りして佑人の席の横を通ってわざと佑人にぶつかって自分の席に戻っていく。
佑人が何も言わないと思ってか、そうした行為が段々エスカレートしてきた。
聞こえよがしに佑人のことをヒソヒソ笑い合うのが聞こえてくる。
最後列で、ぼんやり窓を見ていた佑人はそんな時、聞かない振りをしていたのだ。
佑人が立ち上がって、机を蹴り倒した時には、クラス中が一気に静まり返った。
『ウゼぇってのは、コソつくことしかできないヤツのことをいうんじゃないのか?』
もう、やってられない。
周りを睨み付けるように見据え、佑人は教室を出た。
佑人は自分から周りを切り捨てた。
翌日、佑人が現れるとざわめいていた教室が静かになった。
佑人がちょっと音を立てて鞄を置こうものなら、びくっと肩を震わせるものもいた。
郁磨の言うとおり、喧嘩なら中学生相手になんか負けるつもりはない。
おそらく噂から、近づかない方が身のためだと思ったのだろう、佑人が歩くと今度は皆が避けるようになった。
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