寝息をたてて、佑人は眠っていた。
学校では決して見せることのない無防備な横顔は、すんなりときれいなシルエットを描いている。
どのくらいそうして佇んでいたろうか、おとなしくベッドの傍に寝そべっていた犬が立ち上がった気配に力ははっと我に返り、慌てて部屋を出た。
「成瀬は?」
足早に階段を駆け下りると、啓太が聞いた。
「寝てた。薬飲んだみたいだから、風邪じゃねぇの、やっぱ」
「そっか、熱あったのかな」
啓太は心配そうに呟いた。
「帰るぞ。目的は果たしたんだ」
ちょうどその時、玄関のドアが開いて、男が一人入ってきた。
「みっちゃん、帰ってるの?」
力と啓太が振り返ると、若い男は二人に気づいた。
「あれ、お客さん? あ、もしかして、佑人の友達?」
絵に描いたようなイケメンである。
しかも懐こそうな笑顔で話しかけてくる。
「俺、佑人の兄で郁磨です。君らは?」
「あ、俺、はじめまして。同じクラスで、高田啓太です。いつも、成瀬には世話になってて……」
啓太は立ち上がって頭を下げる。
郁磨に目で促された力は、一瞬間をおいて言った。
「坂本です」
えっという顔で力を振り仰ぐ啓太を無視して、力は続けた。
「成瀬、具合悪かったみたいで、鞄置いて帰っちまったから、届けにきたんで」
「へえ、佑人が? 珍しいな、学校休むなんて。しかも鞄忘れるなんて面白いことしてくれるし」
すると階段からまた犬が降りてきた。
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