空は遠く47

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「お、ラッキー、佑人、寝てんの?」
 郁磨は犬をラッキーと呼んで、わしゃわしゃと頭を撫でる。
「佑人ってさぁ、結構熱とかあっても、気にもしないで動くからさ。熱なんか気合で何とかなるとかって、頑固だろ? 学校でも」
「いえ、成瀬、優しいっすよ、俺、バカだからいろいろ教えてもらってて。帰りのマックなんかも、いっつも成瀬、おごってくれるんで、わりぃなって思ってて」
 啓太は素直にぺらぺらと話す。
「へえ……、そうなんだ」
「じゃ、俺ら、これで。おら、啓太、帰るぞ」
 一瞬、郁磨の目に怪訝そうな色を見た気がして、何となくイラつきながら、力は啓太を促して立ち上がる。
「え、わざわざ佑人の鞄持って来てくれたんだし、晩飯くらい食べていきなよ」
「塾があるんで」
 啓太がまた振り返って何か言いたげな顔をして見つめる。
「そっか、じゃあ、そうお引きとめもできないな」
 いつの間にかラッキーは、たったか玄関へ向かう力を追いかけてくると、足元に擦り寄うようにして力を見上げた。
「あら、ラッキー、もうあなたに懐いちゃったみたい。帰っちゃうの? 学校でのこともっと聞きたかったのに」
 メガネ美人も二人を追いかけるようにやってきた。
「あ、ごちそうさまでした。お、美味しかったです、大福」
 啓太はまた顔を赤くしながら言った。
「また、いつでも遊びにいらっしゃい」
「あ、ありがとうございます。あの、お姉さん、成瀬にお大事にって、お、お伝えください」
 啓太は懸命に丁寧な言葉を選らんだつもりだったのだが、いきなりメガネ美人が笑い出した。
「やだぁ、お姉さん、ってあたし? 高校生がお世辞なんて言わないのよ、こんな大きな子の母親つかまえて」

 


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