ACT 8
ひどく寒い朝だった。
佑人がまだ寝ているうちに、ラッキーは郁磨が散歩に連れて行ってくれたようだ。
起きたときは割と気分がすっきりした気がしたのだが、はたと昨日のことを思い出して、佑人は憂鬱になった。
「大丈夫か? もう一日くらい休めばいいのに」
出掛けに郁磨が心配してくれたのだが、身体自体は動けなくもなかった。
それより………何であいつら……
電車に乗ってぐずぐずと薄暗い空が見下ろしている窓の外を見つめながら、佑人は眉をひそめた。
昨日は家に帰ってしばらくうつらうつらしてから、熱があるらしいのに気づいた。
何も食べたくなくて、胃腸薬と風邪薬を一緒に飲んで寝たのだが、何やら嫌な夢ばかりを見ていた。
目を覚ましたのは夜の八時を過ぎた頃だった。
キッチンに降りて、少し何かものを入れないとと、テーブルの上にあったバナナを食べているとき、郁磨がやってきて、クラスメイトが鞄を持ってきてくれたと渡してくれた。
「……鞄を? クラスメイトって……」
思いもよらぬ展開に佑人は驚いた。
「坂本くんと高田くん」
「……坂本……?」
山本という名前でなかったことに少しばかりがっかりしながら、どういう組み合わせだろうと、佑人はしばし考え込んだ。
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