でも、それは彼らが誰かに疎まれたりしたことがないからだ。心の中で佑人は反論する。もし存在を否定されたら、自分を消してしまうか、開き直るしかない。
いくら世界中の人間に自分の存在を否定されたとしても、無論、自分を消すなんてバカバカしいことはしないけれど、開き直って孤高に好き勝手に生きることで、今度はあんな陽気な家族に哀しい思いをさせるのはもっといやだ。
だからもう少し、我慢しよう。とりあえず、あまり目立たないように、少しずつやつらと距離を置いて離れることにしよう。
たった一日いなかっただけなのに、教室の前に立つと、こんな学校、何の感慨もないと思っていたはずなのに、妙に懐かしくさえ思えた。
そして力の大きな背中を目にした時、ドクンと心臓の音が鳴った。
あんな嫌味を言われたのに、それでも力がいるだけで嬉しいと思う自分に呆れてしまう。
同時に、力とじゃれ合うように笑っている啓太を見て沸いてくる嫌な感情。女子だけでなく、啓太にまで嫉妬している自分にも、佑人は嫌気がさした。
予鈴が鳴ったので、静かに自分の席についたが、誰も佑人に興味を持っているようすはない。
よかった……。
「あ、成瀬、もう大丈夫?」
啓太が気づいて声をかけてきた。
「ああ、ありがとう。昨日、鞄を届けてくれたんだって?」
「いや、別に、んな、たいしたことじゃ……」
まだ何か言いたげな顔をしていたが、ガラリとドアが開いて担任の加藤が入ってきたので、啓太も自分の席に戻った。
力は佑人を振り返ろうともしなかった。
その背中は友好的とは思えなかったが、佑人にとっては今さらだ。
「おい成瀬、お前、昨日は一体どうしたんだ?」
唐突に加藤に声をかけられて、はたと佑人は我に返る。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
