「はい、すみません、昨日は熱でもうろうとしていて、勝手に帰ってしまって」
「そうか、今日はもう大丈夫なのか?」
「はい」
「それならいいが。ええ、それじゃあ、明日には期末の日程、出るから、明日の日直、念のため、教室にも張り出しておくように」
「げーーーっ」
「見たくもねぇよ、んなもん!」
佑人のことはさらりと切り上げ、みんながぶーぶー文句を言っている中をホームルームを終えて加藤が出て行ってくれたので、佑人はほっとした。
どの科目も授業の進行よりかなり先まで自分で進めているため、一日くらい休んだところで、佑人には問題ではない。
だが、だからこそ、適当に教科書を突っ込んだだけで、鞄の中身を確かめていなかった。
午前の授業が終わると、みんなそれぞれにいつもの友達や仲間同士で散っていく。
誰も佑人と一緒に昼を食べようというものはない。
入学したての時は声をかけてくれる者もあったが、それを断って以来、ずっと昼は一人で自分の机で昼を食べてから図書館などで過ごしている。
割と学食は大きいし、そこで食べることもあるが、とにかく混むのがいやで、大抵はコンビニで弁当かサンドイッチなどを買ってきている。
東山が四時限の終わりのチャイムが鳴ると同時に教室を飛び出していったのは、学食の席を取るためだろう。
力と啓太、東山らは学食か、彼らのたまり場になっている天文部の部室に行くかどちらかのようだ。
東山が天文部なので、どうやら東山や啓太の昔の仲間らもやってくるらしいし、啓太に誘われたことがあることはあるが、佑人はやんわり断った。
正直、帰りのマックにせよ、別に東山や啓太と騒ぎたいわけではないし、まして昼まで一緒に行動して、東山の仲間とやらにまでつきあうつもりはさらさらないのだ。
「成瀬、大丈夫? 昼メシ、何か買ってこようか?」
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