空は遠く60

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 やがて府中方面に向かう各停がホームに到着した。
 流れで佑人も一緒に乗り込んだ。
「あの……」
「どうせならつき合うよ」
 電車はのどかな住宅地を走り、次の駅で佑人も啓太と一緒に降りる。
「この辺り、初めてきたな」
「そう? 雨とかだと、ここからセタ線に乗るんだけど、一つ目だし、いつもチャリ」
「知ってる。二両の、駅、十個くらいのやつ?」
「そうそう、二四六で信号待ちするんだぜ? 時速四十キロ出てんのかな」
 改札までくると、啓太は佑人を振り返る。
「ホント、ワリィ、こんなとこまでつき合わせて」
「いや、気をつけて帰れよ」
 佑人は啓太が改札を出るのを見送ると、踵を返して新宿方面のホームへと降りた。
 その日の出来事は、佑人の中では啓太と話をしたこと意外はさほど重要でない部類に区別されたため、後になって何かが起こるなどとは思いもよらなかったのだが。
 

 


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