空は遠く68

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    ACT  10

 
 雨模様の朝だった。
「何だよ、お前ら」
 駅から出て少し歩いたところで、力は聴きなれた声に顔を向けた。
 他校の生徒数人に学ランの生徒が絡まれている。
「啓太?」
 力が声をかけると、見るからにガラの悪そうな連中は力を認めるなり、啓太を放して消えた。
「力ぁ!」
 啓太は力の顔を見ると半べそ状態で走ってきた。
「どうしたんだ? やつらに絡まれたのか?」
「あ、いや、そうなんだけど、それが………」
「やつら、東條のクズ連中だろ? なんなんだ?」
 実は、と啓太は、以前、ゲーセンの近くでちょっとしたことで絡まれ、カツアゲされようとしているところへ成瀬が現れて助けられたことなどをボツリボツリと話し始めた。
 聞いていた力の目が次第に険しくなる。
「成瀬が代わりに金出してくれようとしたんだけど、力、いつも言ってっだろ? 味をしめると一度じゃすまなくなるから、絶対金なんか渡すなって、俺、成瀬にそう言ったら成瀬金引っ込めたんだ。そしたら、やつら殴りかかってきたんだけど、成瀬、さっとかわしてさ、それが妙に強いってか、すげぇの、やつらの腕捻って足蹴りして、ほんで、二人で逃げたんだ」
 啓太はその時のようすを身振りを加えて事細かに話す。
「何でそれ黙ってた?!」
 力に恐ろしい形相ですごまれて、啓太は思わず後ずさりする。その怒りようは半端ではない。
「だ…って、喧嘩みたいなこと知られるのは嫌だって、成瀬が……それで……」
 力は舌打ちした。

 


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