空は遠く69

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「お、俺が絡まれたってことは、成瀬も?! だ…大丈夫かな…、でもこないだ、ほんと強くて。俺、びっくりしてさ、成瀬、いつもそんな感じ全然ないし……」
 力はしばらく啓太の言葉を聴いているのかいないのか、じっと考えこんでいたが、徐に携帯を取り出した。
「俺だ。夕方お前、いるか? ああ、あとで寄るわ」
 どこかへ電話をすると、啓太に向き直り、「いいか、これから、ガッコ出たら、東か、俺と一緒に動け」と命令口調で言った。
「え……うん……」
「奴ら、ちょっとタチ悪いんだよ」
「わ……かった。でも、成瀬は……?」
「心配するな……っても、あいつ、俺の言うことなんか耳かさねーからなぁ」
「お、俺が言っとこうか?」
「いや、何とかする。お前はとにかく自分の身を守ること考えろ」
「う…うん」
 不安そうな啓太に念を押すと、力は教室へと足を向けた。
 啓太は慌ててそのあとを追った。
「うーっす!」
 昼休み、ドアが開いて、ひょいと顔を出したのはニヤニヤと何やら楽しそうな坂本だった。
 昼に坂本が天文部の部室を覗くのは珍しかったので、啓太は不思議そうな顔を向ける。
「何、何? 面白れぇことって」
 坂本が力の横の椅子に座りしな、妙なことを言う。
 それから、力と東山と坂本の三人でひそひそと話している。
「梶田? って、ああ、確か三組だったハナタレガキ?」
 笑いながら坂本がそんなことを言っているのが啓太の耳にも届く。
「何だよぉ、何話してんだよ」
 ひとり除け者にされたような気分で面白くない啓太は、パックの牛乳をズズッとストローで吸った。
 三人の話はまもなく終わったようで、坂本の女の自慢話が始まると、いつものようにバカ話談義に啓太も引っ張り込まれていた。

 


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