空は遠く78

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   ACT  11
 
 
 校舎の横の枝ばかりとなったメタセコイア並木を冷たい風がびゅんびゅん通り抜ける。
 十二月二十四日といえば世間ではクリスマスイブだが、都立南澤では加えて終業式ということで、雨が上がったとはいえ今度は寒気団の南下で急激に冷え込んできたにもかかわらず、朝から登校する生徒たちの足は浮かれ気味だった。
 キャラキャラ笑う女子のグループを横目に、佑人は少しばかり腑に落ちない顔のまま教室に足を踏み入れた。
 家の門を出たところから、何か妙な感じがしていた。ずっと佑人の後ろを歩いている男がいたが、駅まで来ると、姿が見えなくなった。
 最初に来た各停に乗るとすぐ、ドアの傍に腕組みをした力が立っていた。不意打ちのことだったが、力が目を閉じていたのをいいことに、力から佑人は少し離れたところに立った。
 でなくても、最近は互いに無視し合っているのもわかっていたが。
 バカじゃないのか、俺は、自分ばかり意識して。
 この頃では、同じ空間にいることさえ息苦しい。
 もともと山本にとって俺なんかどうということがない存在なのに。
 幾度とはなくそんなことを考えるたび、佑人は胸の痛みを感じる。
 ジクジクとした痛みは、日増しにひどくなっているような気がしたが、自虐的に自分を嘲笑うだけだ。
 電車を降りると、のっそり歩いている力の横をたったか歩いて改札を出た。
 だが、佑人が校門をくぐった途端、力がすぐ後ろに来ていたことは、声をかけてきた生徒たちにぶっきらぼうに返した返事でわかって、思わず振り返った。
 一瞬目があったように思ったが、周りにいた女子のグループに囲まれた力は視線を外した。
 ………何だ…?

 


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