少しばかり首を傾げながら、佑人が席に着くとすぐ、力が斜め前の席に座った。
「力……東、大丈夫?」
すぐに啓太が力の傍でそんなことを言った。
「ああ、心配すんな」
力が答えた。
ホームルームが始まっても東山の姿がなかった。
「休みは東山だけだな。ったく、風邪なら明日引けっての」
「加藤、ひっでー、かわいそうじゃん東、何も好きで風邪引かねーし」
担任の言葉に、生徒たちからブーイングが起きる。
「お前ら、二年があと三ヵ月ってこと、まだわかってないようだな? お前らの頭じゃ、今、お勉強してなけりゃ、ロクな学校行けねんだぞ? 体調管理もできないで受験生とか言ってんじゃないよ」
加藤は強い口調で教壇から生徒たちを見回した。
「ああ、約一名の例外を除いてな」
「わ、ヒイキじゃん、それ~」
佑人はその言葉に反応して内心ドキリとして顔を伏せる。
「何がヒイキだ。事実を言ってるまでだ。お前ら、悔しかったら学年末で満点からマイナス十点以内取ってみろ。喜んでお前らの足元にひれ伏してやるぞ?」
「言ったなぁ?」
「その言葉、忘れんなよ、加藤!」
「呼び捨てにすんじゃないってっだろ? とにかく冬休みも羽目を外しすぎるなよ」
教室が沸いて自分に矛先を向けられなかったことで、佑人はほっと胸を撫で下ろす。
自意識過剰。そんなこともわかっている。しかし、自分の名前がこうして大勢の前で上がるたび、条件反射のように身構えてしまう。
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