空は遠く83

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 前に三人、横から二人に腕を取られ、後ろに二人と囲まれたまま、佑人はキャッシュサービスの横の路地へと連れ込まれる。
 やばい………かも……
 佑人はそれでも頭の中で冷静に状況を判断する。
「成瀬!」
 年末でクリスマスイブということもあってか、結構な人数の後ろに並んでいたATMの前で、イラつきながら何気に外を振り返った坂本は、東條の制服が視界に入った途端、外に飛び出した。
「やられた! 成瀬! 駅前の住銀のATMの右横!」
 走りながら坂本は携帯で叫んだ。
 相手の唸り声だけで携帯は切れた。
 路地にはもう人影はなく、坂本は落ちていたリュックを拾う。
「成瀬!」
「ちょっとぉ! 力! どうしたのよ! どこ行くのよ!」
 坂本の横を力がすごい勢いで路地を走っていった。
 追いかけようとした坂本は、息せき切って横断歩道を渡ってきた少女に気づき、足を止めた。
「ちょい待ち!」
 路地についていこうとした少女を坂本は振り向かせる。
「相田美紀さん?」
「な、何よ? あなた」
 可愛いコートの下はとっくに着替えたらしく制服ではない。
 バッグも靴も目いっぱいのおしゃれをしている少女は、坂本を睨みつけた。
「この先はヤバいから、追わない方がいいよ」
「どういうことよ!? これから力の家に行くって………」

 


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