空は遠く84

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 見る見る美紀の目からポロポロと涙がこぼれ落ちる。
「はあ、しょうがねぇな……とにかく、えっと、あのマックで待ってな。なるべく人のたくさんいるとこにいた方がいい」
「……え?」
 佑人のことが気になりつつも、美紀を近くのマクドナルドに押し込むと、慌ててまた路地へと走った。
 佑人の動きを封じるためか、七人の男たちは佑人にぴたりとくっついている。
 これはやっぱ、マズいかな、とは思いながらも、隙を窺っていた佑人だが、駅裏の狭い路地へと男たちは入っていく。
 その時後ろからバイクの音がした。と思いきや、バイクがすれ違いざま、佑人の左側にいた男を思い切り引き倒した。
 構えた男たちに今度は前から別のバイクが突進してくる。
「うわっ!」
「何だ、てめぇ!」
 喚きながらも男たちは佑人を放り出して右往左往した。
 突き倒された佑人は、今度はいきなり右側の路地から伸びてきた腕にぐいっと引っ張られて走らされる。
「ヤロゥ!」
 それに気づいた男たちが慌てて後を追ってきた。
 何が何だかわからぬまま、左の細い路地に飛び込んだと思うや、家と家との狭い隙間に引っ張り込んだ大きな影は、覆いかぶさるように佑人を抱き込んだ。
「だ…」
 誰だと言おうとした口が塞がれる。
「……しゃべんじゃねぇ………」

 


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