「ありがとう」
「おう」
無造作にそれを受け取ろうとした力の手は、グローブごと佑人の手も握り込んだ。
わ……!!
咄嗟に手を引っ込めた佑人は、瞬時に耳までも熱くなっている自分をどうしようもなく、力が気づかないでほしいとただ思う。
しばしの間があってから、「気をつけろよ」と、ぶっきらぼうに力は言い、バイクをUターンさせる。
佑人が木戸をくぐり、後ろ手に閉めた時、遠ざかっていくバイクの音が聞こえた。
ふう、と大きく息をつく。
と、ポロッと涙が零れ落ちた。
足を動かすことも忘れて立ち竦む。
まだ、力の指の感触が右手に残っている。
あんなことで動揺しているなんて、バカじゃないのか。
けど何か、やっぱり、あいつって、スーパーマンだわ。
危ないところへいきなりやってきて助けてくれてさ…
ハハ……ほんと。
俺、やっぱ、あいつ、好きなんだ。
目いっぱい力に抱きしめられたことを思い出すと、さらに身体中が熱くなる。
あんな状況で、俺が声を上げないようにするためだけのことだってのに。
こんな気持ち知られたら、きっと、もっと嫌われるだろう。
いや………キモいって、今度こそ軽蔑されるか。
ほんと、バカみたいだ、俺。
力のことを考えると頭が沸騰しそうになる。
でも、キリキリとした心の痛みは一層きつくなる。
冬休みか、当分、あいつの不機嫌そうな顔も拝めないな。
思いがけず、力と一緒の時間をくれた十七回目のクリスマスイブは、ひっそりと更けていった。
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