佑人はしばし呆気に取られながら、ふと、今までこんな風にまともに力と言葉を交わしたことはなかったことに気づく。
ただし、よほど佑人のことが気に入らないのだろう、いがみ合いにしかならないとは皮肉なものだ。
「ちょっと妙な連中がついているみたいだからな。ここは力の言うように送ってもらいな」
一人で帰ると、頑として譲らない佑人に、練がぼそりと言った。
そこでようやく、力や坂本だけではなく、練もまた自分の引き起こした厄介ごとに関わっているのだと愕然とする。
「すみません、ご迷惑をおかけして……」
「謝ることはない。仲間は守って当然だ」
練はニヤリと笑った。
仲間って………
自分は彼等にとってそんな存在ではないだろう。
佑人は心の中で呟いた。
結局佑人はまた力のバイクで送ってもらうことになった。
練は力にジャケットとレザーグローブを渡し、佑人にもグローブを貸してくれた。
雨が上がった夜の空は妙に明るく、月が強烈に冷たい光を放っていた。
佑人は鞄を後ろに背負い、無言で力が背中を向けているバイクの後ろに跨った。
エンジン音が響き、やがてバイクは夜の街に走り出る。
佑人は力の背中にぎゅっとしがみつき、目を閉じた。
今だけはバイクという大義名分を隠れ蓑に、力の体温を感じていられる。
このままずっと、宇宙の闇の中に漂っていられたらいいのに。
そんな時間はあっけなかった。店から佑人の家まで、バイクだと案外近かったようだ。木戸の前で、力はバイクを停めた。
佑人はバイクを降りると、ヘルメットを力に渡し、グローブを取って渡そうとした。
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