T市には既に冬の気配がすぐ傍まできていた。
通夜と葬式は岡本家の菩提寺で行われ、商店街中の人々が集まり、その人柄を忍ばせた。
東京に戻る日、元気はCLOSEDの札が出たままの、父親の店の前に立った。
これって、卑怯な俺に下された罰?
元気は涙が溢れるのをどうすることもできず自嘲し、そしてある決心をした。
充電切れだった携帯を復活させると、留守電とメールで一杯だった。
その殆どは豪だ。
通夜の前にメールを入れたみっちゃんから知らせを受けたらしかった。
兄の車で東京に戻り、元気が自分のアパートに帰ると、豪が待っていた。
何週間も顔を見ていない気がした。
豪は人目もはばからず、何も言わずに元気を抱きしめた。
二人は部屋に入ると、優花の事故があってから初めて抱き合って眠った。
朗報もあった。
『GENKI』は正式にWミュージックと契約し、翌年の春にはメジャーデビューが決まった。
「デビューアルバムとツアーがもう決まった」
電話の向こうで、オヤジさんは残念だったな、と言った後、みっちゃんは勢い込んで伝えてきた。
終幕は近づいていた。
幕が降りれば、何もかも好転するはずだ。
いつかはそんな時がくるのを怖れながらも、どこかで渇望していたのかもしれない。
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