煙が目にしみる47

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 イルミネーションが宵闇が迫る通りをシャンパンゴールドに染めていた。
 ショーウインドウごとに、クリスマスグッズが溢れている。
 いかにもおしゃれに、最先端のシチュエーションを演出して、街中が消費者を煽りたてる。
 音、映像、イリュージョン。
 何もかも一緒くたに、街の喧騒とともに元気に覆いかぶさってくる。
 俺、よくこんな街に、暮らしていたな。
 まあ、きれいだがと、少々の厭世観をもって元気は歩きながら辺りを眺めまわした。
 大学入学のために上京した時から、常に新しいものばかりを追いかける、洗練された都会っぽさなんてものに対して嫌悪感さえ抱いていた。
 夜のネオンの中で散々遊びまくったくせに、結局どこかで、似非的なものとして全てをクールに見ている自分がいるのを知っていた。
 もちろん、やっていた音楽や仲間たちは、未だに彼にとって大切なものなのだが。
 十二月になると急にクリスチャンになるらしい日本人の例に漏れず、クリスマスに乗じて大騒ぎするのも嫌いじゃない。
 そういえば、俺って女の子にプレゼントなんてしたことなかったなー、いつももらう方で。
 なんて言ったら、きっと東のやつ、また怒るだろうな。
 田舎の高校で、生徒相手に悪戦苦闘している友人の顔が目に浮かぶ。
 いくら東京でも、ちょっと寒かったか。
 輝くばかりに飾り立てられた木立をぬって唐突に強い風がぶつかってくる。
 これが嫌いなんだ、と元気は革ジャンの襟を掻き合わせた。
 恰好つけたつもりはなく、田舎で高校の時から着ているボロのフード付きジャケットくらいしか持っていないので、東京でいつも着ていたこれを引っ張り出した。
 中はセーター一枚、ジーンズに流行遅れのナイキのバッシュ。
 後ろで結んでいる髪は黒い。
 さっきから道行く人に振り返られるのは、自意識過剰ではなさそうだ。
 ちょっと異様なムードをかもし出しているのかも、と色の薄いサングラスの奥で笑いを殺しながら、埃っぽい南青山の道を歩く。
 写真展に行くつもりなどなかったのだ。


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