煙が目にしみる54

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 永久に続くかとさえ思われた激しい行為がようやく終息した後、意識を失っていた。
 しばらくして一平が冷蔵庫から缶ビールを二本持ってきて、そのひとつを元気の頬に宛てた。
 元気がその冷たさに目を開けると、憎らしいことにとっくにシャワーを浴びたらしい一平はバスローブ姿ですっきりした顔だ。
 不承不承缶ビールを受け取るが、まだ起き上がるのも億劫で、元気は大きくため息をつく。
 飲みたい気分ではあったから、橋本たちと打ち上げに行くかとは思ってはいたものの、こんなことになる予定など金輪際なかった。
「こんな超贅沢な部屋につれてきてくれなくても、お前が十分過ぎるくらいリッチだってことは俺だってわかるぜ?」
 プルトップを引き、缶ビールを半分ほど飲んで元気は人心地ついた。
「だからってやっていいことと悪いことがある。何とか言ったらどうだよ? 一平。何か、面白くないことでもあったのかよ?」
 こんな目に合わされて、文句の一つや二つ言ってやらないでは気がすまない。
「面白くないこと? ああ、あったさ。お前、携帯の番号俺に言ってねーだろ」
「携帯なんか持ってねーよ」
 一平は険しい目を向けると、ビールを飲み干し、缶を握りつぶす。
「こっちにくるんだったら、何で俺に連絡入れなかった? 俺の携帯は知ってるはずだろ」
「忙しい人気スター様に、いちいちそんなことできるか」
「スターもクソもあるか」
 一平はふてくされた顔で言い捨てる。
「何があったか知らないが、誰彼かまわず見境なく好き勝手に突っ込むのか、お前は! 女はどうしたよ? 確か、アイドルの何とかってのとつき合ってんじゃなかったかよ?」
 まったく、こいつ、何にも変わっちゃいねえんだからな。
「阿部エリナか? 今、ロスだろ。何がつき合ってるだ、マスコミのやつら、勝手に言いふらしやがって」
 白々しく言い捨てて、一平は煙草に火をつける。


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