煙が目にしみる61

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 途切れることなく粉雪が降っていた。
 観光客が一人二人と入ってきていたが、夕方になると客足も途絶え、クリスマスオラトリオが静かに流れる中、紀子もカウンターでまったりとコーヒーを飲んでいた。
 暗くなったから早めに店を閉めるかなどと思っていたところへ、ドアが開いていつもの顔が覗いた。
「なあんだ、東か」
 相変わらずの紀子の歓迎ぶりに「おう、俺や。元気にちょっと相談」と力なく東が返す。
「どうした? ブレンドでいいか?」
「ああ、その前に元気、お客さんやぞ、遠慮して外に立ってるから、おい、入んなよ」
「客って…」
 東がドアの外に声をかけると、東の後ろからでかい男が仏頂面で入ってきた。
 はっと元気は息を呑む。
「あっ、豪さんだー!」
 嬉しげに紀子が言うのに、豪は視線だけ返す。
「ひょっとして、写真、持ってきてくれたの?」
「あ、ああ、そう、そうなんだ」
 くったくない紀子に、豪はポケットを探る仕草をする。
「あ、わりぃ、宿に忘れてきちまった」
 ぎこちなさそうに笑う豪を見て、紀子は元気を振り返った。
「元気ってば、豪さん、元気に会いにきたんじゃん」
「今、忙しいんだ」
 紀子が気をきかせても、元気はそっけなく片付けを始めている。
 何で………また来るんだよ!
「じゃあ、元気の手があくまで一緒に飲もうや。ブレンドでいいか?」
「はあ」
 苛立つ元気にも、東と豪のやりとりが聞こえてくる。
 よけいなことを!
 ちらと目をやると、豪の険しい眼差しにぶつかった。きっちり元気を見据えている。
 どういうつもりだ? あいつ、ガン飛ばしやがって。
「こっちには仕事で?」
「あ、はあ……」
 東が何気なく話を振るが、豪は曖昧な返事をするだけで、次には言葉も途絶え、店内で奏でられるクリスマスの曲が荘厳さを主張している。


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