「何でまた俺のとこにくるんだ!? 優花とよろしくやってたんじゃなかったのかよ? 憎んで忘れろよ! 俺のことなんか! 何で今更そんなこと言うんだよ……!」
力任せにハンドルを叩く。
「お互い違う道を歩いてるんだ。やり直すなんて、そう簡単にできるかよ!」
雪はあっという間に車を覆ってしまう。
ワイパーがぎっぎっと音をたてるたびに、暗い雪空が視界に現れる。
元気はエンジンをかけ直そうとして、手が震えているのに気づく。
あいつに抱きしめられた時、息が止まるかと思った。
全身であいつのことを欲しがっていた。
あいつの手が触れたところがまだ熱いのだ。震えているのを気づかれないように、平静を装うのがやっとだった。
……豪……!
気を取り直して、元気はゆるゆると車をスタートさせる。
豪の言葉に揺れないはずはなかった。
やりなおせるものなら、と。
だが――
作品展の会場で、パネルの陰から垣間見た優花は、やっぱりお前しか見ていなかった。
あの時の二の舞はごめんだ。
お前は世界に飛び出していけばいい。
俺はこの街で生きていく。
「もう二度と来んな! バカヤロー!」
車を走らせながら、元気は声に出して叫ぶ。
降り積もる雪に心も埋もれてしまえと、元気は唇を噛んだ。
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