煙が目にしみる66

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「何でまた俺のとこにくるんだ!? 優花とよろしくやってたんじゃなかったのかよ? 憎んで忘れろよ! 俺のことなんか! 何で今更そんなこと言うんだよ……!」
 力任せにハンドルを叩く。
「お互い違う道を歩いてるんだ。やり直すなんて、そう簡単にできるかよ!」
 雪はあっという間に車を覆ってしまう。
 ワイパーがぎっぎっと音をたてるたびに、暗い雪空が視界に現れる。
 元気はエンジンをかけ直そうとして、手が震えているのに気づく。
 あいつに抱きしめられた時、息が止まるかと思った。
 全身であいつのことを欲しがっていた。
 あいつの手が触れたところがまだ熱いのだ。震えているのを気づかれないように、平静を装うのがやっとだった。
 ……豪……!
 気を取り直して、元気はゆるゆると車をスタートさせる。
 豪の言葉に揺れないはずはなかった。
 やりなおせるものなら、と。
 だが――
 作品展の会場で、パネルの陰から垣間見た優花は、やっぱりお前しか見ていなかった。
 あの時の二の舞はごめんだ。
 お前は世界に飛び出していけばいい。
 俺はこの街で生きていく。
「もう二度と来んな! バカヤロー!」
 車を走らせながら、元気は声に出して叫ぶ。
 降り積もる雪に心も埋もれてしまえと、元気は唇を噛んだ。
 


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