煙が目にしみる79

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 バイパスに入ると、道路は雪をよけていった後らしく、車は比較的スムースに走る。
 次第に強くなってきた雪が、フロントガラスをめがけて降りつけた。
 とりあえずS温泉まで行けば、何かわかるかも知れない。
「豪! あんの、クソバカヤロー!」
 悪態をつきながらも、ワイパーさえ追いつかないほどの雪の襲撃に、元気の脳裏には不安が募る。
 合わせるように徐々に目の前の視界が狭くなる。
 気象情報を聴こうと、FMを入れてすぐだった。
『午後三時頃S高原スキー場で、雪崩が発生し、スノーボードをしていた男性二人が巻き込まれた模様です。詳しいことがわかり次第、またお知らせいたします』
 地元放送局のニュースに、元気の心臓が凍りつく。
 まさか………だよな?
 ハンドルを握る手が震える。
 とにかく、行かなけりゃ!
 自分を奮い立たせ、眼前を見据えてアクセルを踏む。
 何であの夜、あいつを帰してしまったんだろう。
 どうしてあいつの心を放り出してしまったんだろう。
 今、後悔ばかりが渦を巻く。
 優花を選ぶのでもいい、俺を二度と振り返らなくてもいいから、生きていろよ!
 お願いだから……………!


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