雪が小康状態になり、あたりに闇が降り始めた頃、捜索隊の面々は記者たちの質問攻めにあっていた。
救助された二人は毛布にくるまってロッヂの中にいたが、見たところ少し疲れが見えるくらいで、ふてぶてしそうな態度を顕にしている。
「ちぇ、誰も頼んじゃいねーよ」
「ちょっと吹雪がやむの待てば、俺たち、自分で降りてきたんだ。携帯落としただけで。おめーは携帯忘れやがるし」
整備されていないところで、ボードで滑り降りようとして雪崩に巻き込まれたものの、幸運にも足元をすくわれた程度だったようだ。
地元の捜査隊や山岳救助隊まで動員され、大掛かりな事態になったことに対して、何ら罪悪感もいだいていないらしい。
救助隊が到着するかしないかのうちに、二人は彼らを探し当てた豪と一緒に自力で山を降りてきた。
ちょっと温まったと思えば、もう煙草など吸いながら言いたいことを言っている。
助けてくれたはずの豪に対しても、礼を言うどころか開き直るこの二人の態度に、周囲の人間は少なからず腹を立てていた。
だが、豪はさっきいきなり飛び込んできたたった一人の姿しか目に入っていなかった。
会いたい、と思ったらそこに元気がいた。
しかも、「お前、生きてるのか!?」なんて、こんなところまで息せき切って駆けつけてくれたのだ。
「俺、生きててよかった」
豪は人目も何のそので元気を抱きしめる。
「この……バカヤロー!」
豪の腕を突き放して元気が怒鳴った。
元気も、何が何やらわけがわからない。
S温泉の清流館で優花を乗せ、とるものとりあえずS高原スキー場に向かった。
優花も雪崩のことを耳にしていて泣いてばかりいた。
ところが、必死で救助に集まっていた地元の人々が帰り始めたところを捕まえて、遭難者の情報を聞き出し、ロッヂにたどり着いてみれば、心配した本人が呑気そうに振り返った。
「なあ、あいつ、何とかって、カメラマンだろ?」
「あ、そういや、どっかで見た顔だと思ったぜ」
「スクープとか撮りたかったんじゃねーの?」
「なーる、売名行為ってやつ?」
ははは、という散々大迷惑をかけた当の二人の笑いは、次の瞬間、「バカやろ! このクソガキどもが!」と頭の上から怒鳴りつけられて吹っ飛んだ。
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