「元気!」
豪も驚いて突っ立っている。
「はあ? な…んだよ、てめ!」
「いって……! きっさま……何しやがる!」
周囲もあっけにとられる中、一人は怒鳴り声に尻餅をつき、醜態をさらした二人はいきなり怒鳴りつけた元気にくってかかる。
「悪いことをしたら、ごめんなさい、助けてもらったら、ありがとう、だ。お前ら、幼稚園からやりなおせ」
どっと笑いが巻き起こる。
「なんだと、このやろー」
色めきたって立ち上がる二人にも、元気は引かない。
「グーで殴られなくてありがたいと思え。わからないなら、山に入る資格はない」
二人は、元気とその後ろにでかい豪が睨みを聞かせているのに気おされて、舌打ちする。
「帰る!」
元気は身を翻して豪の横をすり抜け、とっととロッヂを出た。
「あ、ちょ、待てよ、元気!」
豪は慌てて、元気の後を追おうとした。
「あ、坂之上さんですよね、カメラマンの」
「遭難したスノーボーダー発見! お手柄でしたね」
「でも、二次災害の危険性もあったかと思いますが」
地元テレビ局にカメラを向けられている豪に気づいて、新聞記者たちまでが豪の行く手を遮った。
どこで聞きつけたか、遭難者を発見したのが、最近テレビでも顔を売っているカメラマン、坂之上豪だと知ったらしい。
その間にも元気はたったか駐車場へと降りてきてしまった。
元気はカッカきていた。
自分にだ。
考えてみれば、全く部外者のくせに、つい感情的になってしまった。
えらそうなことを口にしたが、本当のところ、豪が侮辱されたからなのだ。
ああ、バカバカしい!
腹立ちまぎれに力任せにキーを押して車のロックを解除し、ドアを開けて車に乗り込むと、元気はエンジンをかけた。
と、バンバン、と窓が叩かれた。
「ちょっと、開けろよ、元気!」
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