こっちに来る間中、豪に生きていて欲しいと、ただそれだけを願っていた。
それがここに今こうして隣に豪がいるのだ。
昂揚している感情を抑えるのも難しい。
「とにかく」
元気は大きく息をつく。
「家に帰らないと。母親が旅行に行ってるから、リュウ一人なんだ。店も放り出してきたし」
「わかった」
豪は憤然としたままハンドルを切る。
雪……きれい……だ。
窓の外を見ながら、元気はライトに浮かび上がる雪を見つめていた。
ああ、そうだ、ひどく……嬉しい。
簡単なことだったんだ。
いつもハンドルを回す側にいると気づかないことも、少し違う状況に自分をおいてみると、見えてくるものもある。
言葉もなく、ただ走る車に揺られながら、元気は妙に落ち着いてきた。
答えはわかっていたのにな。
やがて車はバイパスから街に入っていく。
相変わらず道路は固まった雪ででこぼこしているわ、轍になっているわ、車はろくに走れたものではない。
ようやく元気の家の裏に車をつけると、家の中からリュウがワン、と一声吠えた。
「上がれよ。今ストーブ焚くから、ちょっと我慢してろよ」
元気が玄関にまわり、鍵をあけて中に入ると、リュウが尻尾を振って大歓迎してくれる。
リュウを撫でてやりながら灯りをつけて豪を招き入れた。
居間のエアコンのスイッチも入れるがそれだけではとても寒くてたまったものではない。
「悪いな、リュウの散歩行ってくっから、ちょっと暖まっててくれよ」
元気はリードを掴んでリュウを従えてドア口に向かった。
「俺も行く」
否が応でもついてこようとする豪に何か言おうとしたが、元気は首を振って苦笑いする。
リュウを連れて外に出るとまた風が強くなってきて、元気は身体をちぢこませた。
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