後ろの豪はそれでも黙ってついてくる。
リュウは時々不思議そうに豪を振り返るが、また尻尾を振って歩き出した。
散歩の途中で伽藍に寄ってみたが、ちゃんと鍵もかかっていた。
「紀ちゃんに、あとで謝っとこう」
家に戻ると、エアコンをつけていった居間は多少温まっていた。
「そうだ、豪、腹減ってるだろ、今、何かつくるから」
リュウにごはんをやると、にわかに明るく振舞い、キッチンに立って湯を沸かそうとする元気を、いきなり豪は後ろから抱きしめる。
「いい。あんたが喰いたい」
「おい、豪……」
あからさまな台詞を吐いて元気の首筋に唇を寄せ、手を元気の身体にさまよわせる豪に気づいて、元気は火を止めた。
「いくらなんでもここではよせよ」
「じゃあ、あんたの部屋に行こう」
耳朶に直接唇をつけて囁く豪の声が元気の身体の奥を震わせる。
「俺の部屋、寒いぜ? ここんとこメチャ寒くて、二、三日前なんか、水道管凍っちまってえらい目にあったぜ……エアコンないし」
「いいから」
二階には六畳と八畳の部屋があり、フローリングの六畳の部屋を元気は使っていた。
兄の部屋だった八畳間は生前父親が書斎代わりに使っていたが、今は客間になっている。
兄夫婦と子供たちが来たときはそこに詰め込まれるのだ。
夏に一度豪がこの家を訪れた時は、ちょうど兄一家も来ていたので、小さな家の人口密度が一気に上がった。
豪は元気の部屋で、ベッドと机と本棚の合間に布団を敷いて窮屈そうに寝ていた。
何だか随分遠いことのように思い起こしながら、元気はストーブに火をつける。
「寒いだろ」
元気は立ち上がり、突っ立っている豪を振り返った。
豪は静かに元気に近づき、「熱いよ」という間もなく、噛みつくように唇を合わせた。
ゆっくりと二人はカーペットの上に倒れ込む。
豪はもどかしげに元気のセーターを脱がせ、唇で冷たい肌を温めながら、腰の辺りまで降りていく。
ガチャガチャとベルトをはずそうとする豪を、「がっつくなよ、ガキ」と元気がたしなめる。
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