「お帰りなさい。お風呂入ってね」
「すみません」
元気を迎え入れた詩織の明るい声に、かろうじて答える。
「どうした? 元気。顔色がよくないぞ」
ちょうど風呂から出てきたらしくタオルを首に引っ掛けた勇気が元気の顔を覗き込む。
「え、いや、だから、ちょっと夏バテかなって」
笑うのが億劫だ。
家から何も持ってこなかった元気は、コンビニで下着だけ買ってきたのだが、金をちゃんと払ったかどうかすら記憶からもれている。
何か、俺、すんげーショックなん?
シャワーのコックを捻り、熱い湯を頭からかぶりながら、元気は自分の感情をコントロールできないでいる。
なーにが、長い人生、こんな恋もたまにはあり、だよ!
なーにが………
『こんな別嬪な彼女がいたのね。イケメンやと思っとったけど』
テレビを見て母が口にしたそんな言葉さえ、実はひどく苦しかったのだと、ようやく元気は思い知る。
あの時、店に電話するな、なんて言った俺に呆れたのかもしれない。
それともとっくにあの女といい仲になっていたんだ。
ハ………、そういうことか。
よーくわかったよ。
わかったけど、俺………
俺、めちゃ、あいつに置いてかれるの、きつい……
バッカみてぇ………
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