夏を抱きしめて19

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 兄のTシャツと短パンを借り、部屋に戻った元気だが、エアコンを入れて涼しくなっても、ベッドに横になってもなかなか寝つかれない。
 タオルでガシガシやっても乾ききっていない髪がうっとおしい。
「くっそー、ビールでも買ってくるんだった」
 窓際に置かれたテーブルの上の時計はまだ十時半。
 一度くらいは会えるはずだと思い込んでいた自分がバカだった。
 三日くらいこっちに滞在しようと思っていたのだが、披露宴が終わったらとっとと帰りたい。
「二次会かぁ。たるいな。でも優作のやつが幹事じゃ、とっとと帰るってわけにも………」
 ブツブツぼやいていると、ドアがノックされた。
「元気、いいか?」
「ああ、いいよ」
 やはりTシャツに短パンで、勇気は缶ビールを携えて入ってくる。
「飲むだろ」
「サンキュ」
 元気は笑い、早速缶ビールのプルトップを引く。
「カフス、いるんだろ」
 勇気は短パンのポケットからカフスを取り出した。
「あ、そうだった。ども、お借りします」
 あまりに手ぶらで来てしまった元気がカフスを持ってくるのを忘れたことに気づいたのはついさっきのことだ。
 ベッドに並んで座り、ビールの冷たいのどごしに少しばかりほっとする。
「それで、何悩んでる?」
 すかさず切り出され、元気はきたか、と思う。
 昔からこの兄には隠し事はできなかった。
 だが、今回ばかりはどう話したものかわからない。
「うまくいってないの? 豪くんと」

 


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