夏を抱きしめて24

back  next  top  Novels


『ええ、お友達の結婚式が、明日だったと思うけど』
「あ、そう、ですか、すみません」
 慌てていたのでどこに泊っているかも聞くのを忘れた。
 眠そうな声だったから、まさかまたかけ直すわけにもいかない。
「結婚式って、んなこと何にも言ってなかったじゃんかよ」
 もう一度、携帯を呼び出してみるが結果は同じだった。
「あ、みっちゃん!」
 焦りまくって携帯を落としそうになりながら、わずかな希望を抱いてかけたのはみっちゃんの携帯だ。
「あ、あのっ、元気、東京来てるらしいんだけど、結婚式って、みっちゃん、聞いてる?」
「結婚式? へえ、元気誰と結婚すんの?」
 藁をもすがる思いで聞いた豪に、容赦ない言葉が返される。
「みっちゃん……、だから友達の、結婚式に出席してるらしくて」
「んなもん、元気に聞いてみればいいだろ?」
「それが、電源切ってて、さっきかけてきたみたいなんだけど、俺、ADの葉子ちゃんに頼んじゃって……、きっと、何か、また誤解されて……ったく、どうしたらいいんだよ!」
 支離滅裂なことを口走る豪にみっちゃんは突き放した言葉を投げかける。
「ちっともわからねんだけど」
 豪はようやく経過を一通り説明し、元気の居所がわからない上、仕事中ADの葉子が元気がかけてきたらしい電話に何と言ったかわからないが、ひょっとして何か誤解して電話に出てくれないのではないか、結婚式のことは元気の家に電話をして母親に聞いたのだが、誰か元気の居所を知っている人間はいないか、と訴えた。
「そりゃ、お前、もうアウト、だな。その女のことてっきり例の女優だと完全に思い込んだな」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ