夏を抱きしめて25

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「アウト…って、そんな、だからっ全然違うっていってるだろ!!」
「うっせぇよ!! お前俺に喚いても。こっちで結婚式っていや学生ン時のダチかな。将清か優作に聞けばわかんじゃね?」
「………え………同期の確か毛利さんとか? って俺、面識はあったかもだけど、連絡先なんか知らないし………頼む! みっちゃん、聞いてもらえねぇ?」 
「しゃあねーな」
 みっちゃんはかけ直すと言って切った。
 待っている間は何時間にも思えて、豪はイラつきながら、車の周りをぐるぐる歩いていた。
「だめだ、出ねぇ。あれじゃね? あいつら雑誌編集部にいるから、今校了とかで携帯どころの騒ぎじゃないとか? 留守電にはいれといたけど」
 待っていた電話は朗報とは程遠かった。
「はあ、そっか……」
 豪はガックリと肩を落とす。
「やつらと連絡取れたら、そっち知らせるさ。それより、元気が来てるのなら一度話しておこうと思ったんだが、お前、知ってるか? 元気の海賊ライブCDが出回っていて、『幻のギタリスト』とかって妙な噂になってんの」
「な……んだよ、それ……ちらっとそんな話耳にしたことあるけど、それって、GENKIじゃなくて元気のことなのか?!」
 嫌な予感、というのはこういうことをいうのだろう。
「俺もそれ手に入れて聴いたんだけど、確かにやばい、って感じで」
「何だよ、やばいって!」
 みっちゃんの話は、豪にとっても胡散臭げなものだった。
 GENKIは最近、デビュー当時契約していたレーベルの契約期間が切れたのを機に、以前の事務所から独立し、自分たちで会社を立ち上げた。
 株式会社Gコーポレーション、みっちゃんのフィアンセである浅野涼子を事務所の社長にすえているが、実質動かしているのはみっちゃんだ。
 どうやらその『幻のギタリスト』の噂というのは、その海賊ライブに目をつけたプロダクションが操作したあげくにネット上でも業界近辺でバズっているキーワードらしいが、そのプロダクションの社長と浅野が元気を巡ってやりあったというのだ。

 


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