夏を抱きしめて36

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 二次会では脱いでいたが、三人ともここではちゃんとジャケットを着ていた。
 黒のTシャツに黒のジーンズという珍しくラフな姿で現れ、文句を言う一平の方がいるだけで相変わらず暑苦しい。
「大学の同期で佐野っていただろ? あいつの結婚式だったんだよ」
「さあ、物覚えが悪いからな」
「どうぞ」
 バーテンダーに差し出されたグラスの液体を一気に飲み干すと、一平は一息ついてまた元気に向き直る。
「で、どうすんだ?」
「何をだ?」
「豪のことだ」
 いきなりそうくるとは思わなかったので、元気は少々面食らう。
「別にどうもこうも……」
「俺の前でとりすました顔しても無駄だ」
 元気の言葉を遮って、一平は元気の肩に腕を回す。
「女とイチャコラしてる豪が邪魔になったんで、無視してる、ってみっちゃんに聞いたぜ? で、俺んとこに戻る気になったか?」
 うーんと元気は眉を顰める。
 豪と付き合っているのがわかっていようが、ほとんど耳朶に唇がつかんばかりに言う一平を突き放すつもりもない。
 ないが、例え豪が離れていったとしても、じゃあ、一平に戻る、とかはないだろう、いくら何でも。
 いくら好きだったとはいえ。
「それより、幻のなんちゃらって、いったいなんだよ? みっちゃんはどうしたよ?」
 元気は話題を無理やり変えた。

 


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