「フン、お前が冬に俺らとじゃねぇとこで、ギターなんか弾くからだろ」
「まさか、ちょっと飛び入りしたくらいで、こんなことになるなんて誰が思うよ」
「豪のやつがお前の写真なんか人目にさらすからだろうが」
そこは一平と意見を同じくした。
「将清、携帯、貸してくれ」
毛利から携帯を受け取ると、元気はバーの外に出た。
「おい、何で一平がくるんだよ?」
みっちゃんが出た途端、のっけから文句を言った。
「あいつ早速行ったのか? ついお前がこっちにいるって口にしたもんだから、居場所を聞かれたんだよ。ちょっとオフィス寄ってたんだ、今から行く。あ、そういや、豪が探してたんで、あいつにもそこに行くように言っといた」
えっ、と思った時には切れていた。
そうか、豪のやつ、俺のこと聞いてまわって……
狭いエレベーターホールの前で、元気はしばし立ち尽くしていた。
チンという音がしてドアが開いたので、元気は店に戻りかけた。
その腕をエレベーターから降りてきた男にいきなり掴まれて振り返る。
「やっぱり、君だ」
「は?」
「スターになる要素が溢れてる。うちの事務所で君をスターにしてあげるよ。いっしょにおいで」
「…………すたあ?」
陳腐な単語を並べ立てるその男を見ると、どうやら二次会で毛利がお前を見てると言っていた男だと元気は思い出した。
こいつ、後をつけてきたのか?
「あのー、そういうのは、もっと若くて可愛い女の子に言った方がいいのでは?」
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