花のふる日は 37

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「ロケはもう終わったんか? せえけど、プロデューサーとかいう連中は、見境なしに人襲うのんも平気なケダモノやとか、噂だけでないてようわかったわ」
 いきなりきつい皮肉で迎えられて工藤はちょっと驚く。
「言っておくが………俺は昨日より前に、合意以外で人を襲ったことはないし、これからもない」
「おちょくるんやないで! あんた、俺が男やから訴えたりせえへんやろなんて思うとるんか知らんけど、冗談やない、傷害罪でも何でもいくらでも訴える理由はあるんやからな」
「わかった。とにかく反省はしている。お前の承諾を得ていないことに関しては、謝る」
 だが、さらに千雪に近づこうとした工藤は、いきなり顔の前にクラブを突きつけられて後ずさる。
「何が謝るや! 俺の半径三メートル以内に近づいたら、ほんま訴えたったるからな!」
「わかった、わかったから、物騒なものを降ろせ」
「せっかくやから、数日、この部屋借りるよって。そのくらい、してもろて当然やし。他にも仰山部屋ありそうやから、あんたは他の部屋使うたらええ」
 非常に重苦しい対応を思い描いていた工藤は思わぬ展開に苦笑を禁じえない。
「フン、それは構わないが………レポートをやってるって?」
 えらそうに命令する千雪に問いながら、工藤はポケットから車のナビシートの下で拾った学生証を取り出し、千雪がタブレットに目を落とした隙にテーブルの下に落とす。絨毯がその音を静かに飲み込んだ。
「ああ……そう、……レポート。早いとこやらんと、提出期限が迫ってるよって、邪魔せんと出て行ってんか」
 平造老人には、咄嗟にレポートをやらなくてはならないと千雪はごまかしたのだが、実際朝までに原稿はあげなくてはならない。
「夕べは承諾抜きだったが、どうせなら今夜は合意の上でってのはどうだ? 綾小路京助とは別れたんだろ?」
 一旦降ろしたクラブをまた握り締めて、千雪はしれっとそんな台詞を吐く工藤を睨みつけた。
「あんな、しょうもないタラシの話なんかしいなや! それに強姦魔の厚顔無恥な腐れ外道の相手をするつもりもない! とっとと出て行けや!」


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