花のふる日は 69

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 たて続けにいろいろなことがあって、京助と喧嘩をしたこともそんなに前の話ではないのに、千雪は随分時間が経ったような気がしていた。
 さっき着いた時は、時間がゆっくり流れているように思たのにな……おかしなとこや、ここは。
 工藤から奪い取った部屋は、古いアンティークな家具に囲まれているせいか、不思議な安堵感があった。
 バスタブに湯を張り、久しぶりに身体を思い切り伸ばしてから、ようやくほっと息をつく。
 霞ヶ関で別れた京助の顔がふっと思い浮かぶ。
 差しあたって結局まだ何も解決していないと思われた。
「事件も、あれから何か進展あったんやろか」
 妙な事件だったが、下手をすれば自分が犯人にされそうになったのだ、腹立たしいことこの上ない。
 腹立たしいのは、つまらない犯人のコスプレの小細工に、警視庁までが踊らされて人を犯人扱いしたことだ。
「ああ、もう! 終わったことやし!」
 ざっと顔を洗うと、シャワーを使って部屋に戻った千雪は、ようやく疲れを感じたのか、ベッドに入るなり久しぶりにぐっすりと眠った。
 
 
 
 
 小鳥のさえずり、窓の外には柔らかな春の光が満ちているのだろう、空気さえ爽やかだ。
 こんな日は惰眠をむさぼる以上に贅沢なことがあるだろうか。
 温かい毛布にくるまって、何も考えずにただ眠っていたい。
 千雪は毛布を頭まで被ろうとして、逆に引っ張られ、眉を顰める。
「起きろ」
 上から声がしたが、それでもまだ眠りを手放したくない千雪は再び毛布を引っ張りあげようとする。
 途端、カーテンがさっと開けられ、眩いばかりの日差しが一気に降り注ぐ。
「何やね……一体……」
 さすがに身体を起こした千雪だが、目の前に腕組みをして立っている工藤をしばしぼんやり見つめる。


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