メリーゴーランド170

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「どうにもなってるわけないじゃない」
 仕方なくアスカは、誰かにあとをつけられてたまたま青山プロダクション前で千雪に出会い、一緒に逃げ回ったり襲われそうになったことなどをかいつまんで話した。
「やだ、それ、まるで千雪ちゃんの探偵小説みたいじゃない? それで何で怒ってるのよ?」
「だから小林千雪……ユキが、私がファンで前に会ったことがあったくせに知らんぷりして、セキュリティがしっかりしてるからとかって連れてってくれたのはいいけど、そこで二、三日過ごしてやっと容疑者が捕まったって刑事に言われてでたのが、京助の部屋だったのよ!」
 途端、ワイングラスを持ったまま日向野が、いきなり立ち上がった。
「京助さんのお部屋にお泊りになったの?」
 それを見て、アスカはふうっと大きく息を吐いた。
「日向野、あなた、どうやら場違いだわ、ここにいるのは」
「何をおっしゃるの? あたしは………」
 アスカは「ああもういいわ、これだけ言ってもわかんないんだから」と何か言いかけた日向野を遮った。
「京助の部屋なんて今までどんだけ女が泊ったか知れやしないのに、知ってたら泊まったりしなかったわよ! しかも超きったないし!」
「うっせえな。論文の途中で、教授のお供で大阪だったんだ。俺の部屋が汚なかろうとお前には関係ねえ!」
 キッチンに行っていた京助が戻って来て、耳にしたアスカの発言に文句を言った。
 ちょうど一旦部屋に戻った研二、辻、三田村、佐久間の四人が風呂に入ろうとまた降りてきたのと入れ違いに京助は二階へ上がって行く。
「ユキはどうしたの?」
 アスカに聞かれて、研二と辻、三田村は思わず顔を見合わせた。
「あいつは、大風呂恐怖症や」
 三田村が言った。
「ナニソレ!?」
「ま、そういうこっちゃ」
 ニヤニヤ笑いながら、三田村が答えると、四人は風呂へ向かった。
「アスカ、それで、青山プロダクションに移籍したのは、名探偵がいるからだって?」
 ソファにもたれかかって速水はラフなセーターとパンツに着替えすっかりくつろいでいる。
「そうよ、だから何?」
 挑むような視線をアスカは速水に向けた。
「いや、名探偵のあのコスプレ、実は女避けみたいだぜ?」
「女避けって何よ?」
「まああれじゃ、女の子に追いかけまわされるわけだよな? それが嫌でフェイク」
 アスカは唇をちょっと噛みながら速水のニヤニヤ笑いを見ていた。


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