元エリート商社マンだか何だか知らないが、クール過ぎて何を考えているかわからない。
温かみがぜんっぜん感じられないのよね。
まだ前のろくでもないマネージャーの方が何考えてるかすぐわかって、それなりに情が熱かったことだけはわかるわ。
私に対してじゃないけどね。
とにかく、食事の後、京助つかまえて聞いてやるわ。
今さらもう後には引けないじゃない。
階下に降りていくと、ダイニングテーブルには既に理香や日向野、速水らが陣取っていた。
アスカは速水から離れて座った。
そこへ千雪、研二、三田村、辻、それに佐久間が賑やかにやってきた。
彼らは速水らの向かい側に順番に座り、千雪がちょうどアスカの目の前に座った。
千雪は隣の研二と何やら話していて、時折笑みを浮かべている。
何か、すごいカッコいい人。
その時初めて、アスカは研二の優しい眼差しに気づいた。
何て、優しい目でユキのこと見るんだろう。
「高校の同級生? 仲いいんだ」
いつの間にか口にしていた。
「同じ町の大体ガキの頃から一緒やから」
千雪が答えた。
「同じ町って、京都の?」
「ああそう」
「みんな今は東京にいるの?」
「辻は横須賀。研二以外は大学からこっち。研二はつい最近、日比谷に実家の店の支店を出すことになって上京したんや」
千雪は何のこだわりもなく、説明した。
「お店って何の?」
「和菓子屋で『やさか』。今度新しくできる日比谷の芝ビルに入ることになってる」
「え、すごい、あそこ新しいショッピングビルで、期待値が大きいのよ」
「へえ、そうなん? さすがモデルさんやな、よう、知ったはる」
三田村が口を挟む。
「ロンドンのニューブランドで、今人気の『チェシャーキャット』が日本で初めてあのビルに入ることになってるのよ。CEOの芝さんが直接チェシャーキャットのデザイナーと交渉したんですって」
「へえ、それ言うたら、研二の菓子も芝さんが気に入らはって直接交渉しはったんやで」
千雪がアスカの発言に対抗するように自分のことのように自慢げに言った。
「ほんと? やっぱり絶対美味しいんだ。芝さんて本物志向なんですって」
アスカが言った。
「うん、俺が小夜ねえに持ってった菓子、芝さん、美味いて食べてはったで」
千雪が研二を振り返る。
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