「え、芝さんに会ったの? あの人神出鬼没でなかなかアポ取れなくて有名なのよ」
「そらまた、ラッキーやったな。俺たまたま小夜ねえンとこ行ったら、芝さんいてはって、研二の菓子が気にいったよって、何とか連絡とれへんかていわれて」
「研二、こら、一気に日本、いや世界のやさかにするチャンスか知れんで?」
アスカや千雪の話を聞いて三田村が大仰に言う。
「俺は美味いて言うてくれる人がおれば、それでええ」
研二が苦笑する。
「お前、たまには俺が俺がて、言うてみ? それだけの男やのに」
辻まで研二を煽り立てる。
「あほやな、つつましやかに中身で勝負いうんが、ほんまの京都人やろが」
千雪が言うと、「お前のどこがつつましやかやねん」と辻に突っ込まれる。
「うるさいわ。少なくとも俺はつつましやかを目指してん。そうかて、あのコスプレがやたらめったら勝手に爆走するやなんて思うか?」
「逆効果やったな」
研二が笑う。
そこへ京助がキッチンから出てきて、「誰が誰とかないんで、端から適当に置いてってください」とスタッフに指示した。
「おお、すげえ、ほんまもんのフレンチコース」
辻が声を上げた。
「豪勢でんな」
隣の佐久間も運ばれてくる料理にゴクリと唾をのむ。
速水と理香は隣同士でこそこそと二人で話し込んでいる。
完全に日向野は取り残された形で、ムッとした顔を隠せないでいる。
「皆さんも区切りのいいところで召し上がってください」
「ありがとうございます。では一旦席に着かせていただきます」
藤原が聞いたら頭から火を噴きそうだが、京助は、スタッフのメニューもみんな同じにしてもらい、大概の皿を並べて一段落ついた頃にデザートとコーヒーを出してもらうことにした。
何しろ気の知れた連中ばかりなのだ、すまして取り繕う必要もない。
秋山はいつの間にか現れてアスカの隣に静かに座った。
京助も千雪の横に座ると、何となくそれでもみんなが手を付けるのを待っているのに気づいた。
「乾杯っていうほどでもないしな。何、ここで俺に、今日の糧をお与えくださいましてとかってやれっての?」
京助がお茶らかして言うと、「でたらめ言わないでよ」とアスカが突っ込みを入れる。
「お前、何か言えよ。クリスチャンだろ? ガキン頃よくメシの前にブツブツ言ってたよな」
「クリスチャンじゃないわよ。ママがカトリックだったし、幼稚園もそうだったから、丸暗記してただけよ」
「何でもいいからやれ。みんな、腹減ってんだ」
アスカはムッとした顔をしたが、それでも両手を組んだ。
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